RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、PC上の業務を自動化するツールとして、多くの企業で導入されています。
しかし、導入したものの、思うように活用できていない企業も少なくありません。
この記事では「RPAを導入したけれど使いこなせていない!」という企業様向けに
お悩みの原因・おすすめの運用方法について解説しています。
目次
RPAを使った業務効率化の具体例
まず、RPAを活用することで得られる効果の一例を紹介します。
【例】Excelデータから業務システムへの転記作業
Excelデータの項目を目視で確認して抽出し、業務システムへの転記を行います。
すべての工程を手動で行う際は、約142時間/月の作業時間がかかっていましたが、この作業をRPAで自動化した結果、85時間/月の削減に成功しました。
RPA化をすればExcelデータの行数が多くてもスピーディーかつ間違いなく転記をしてくれますし、指令だけ出しておけば、夜間でも作業可能です。
その他、RPA向きの業務については、下記ブログで解説しています。
なぜ企業はRPAを導入するのか
では次に、なぜRPAの導入が進んでいるのか、その理由を見ていきましょう。
・社員が他の業務に注力できるから
RPAによって単純作業を自動化することで、社員は新しいプロジェクトや顧客対応に専念できます。
・採用活動が困難だから
人手不足の状況下で、人員を増やすのはたやすいことではありません。RPAが業務の一部を代行できれば、既存リソースを有効活用できます。
・DX推進・業務効率化に取り組まなければいけないから
RPAは夜間でも稼働が可能なため、DX推進・残業対策を実現するための業務効率化ツールとして導入が進んでいます。
・RPAは「誰でもカンタンにできる」というイメージがあるから
ノーコードやローコードで簡単に作成できるため、導入のハードルが低いと考えられています。
RPA導入の失敗例とその要因
それでは、本題に移ります。
RPA導入を「失敗」と感じている担当者様のリアルな声からその要因を探ります。
※本稿での「失敗」はRPAを活用しきれていない、運用できていない、管理しきれないという意味で使用します。
RPA導入の失敗例
以下は、RPAを実際に導入した企業の担当者様からよく聞くリアルな声です。
「導入してみたけれど、やっぱり難しい。導入に失敗した」
「担当者が退職してしまい、RPAが放置されている」
「ロボット(シナリオ)を作る時間なんてない」
「RPAに関する業務を押し付けられてしまい通常業務ができない」
なぜこのような声が出てくるのか。
その要因のひとつとして、RPAはノーコードでカンタンというイメージが先行していることが挙げられます。「自分たちでできるのであれば、まずはミニマムで1回やってみよう」と前向きに検討する企業が多いのです。
なぜ失敗したと感じてしまうのか?
なぜ導入後にこのようなことが起こるのか。深掘りしていきます。
① 実際の画面をみてみよう
今回はシンクロイドというツールを例に実際のロボットをみていきます。(※シンクロイドはとても使いやすいツールです。)
下図は、RPAロボットのコアとなるシナリオとよばれるものです。
PC上での作業をこのようにフロー図にしてロボットに指示を出します。上段のように業務フローがすごくシンプルだったら、ロボットは簡単に開発・メンテナンスが可能かもしれません。
ですが、下段のように複雑な業務フローですと、いろいろなアプリケーションを経由したり、いくつもの分岐を通過するため、当然シナリオも複雑になります。
このシナリオを作るだけでも一苦労ですね。
稼働後も業務フローや仕様の変更に対応しなければならないなどの問題が発生し、自分たちで扱いきれずうまく活用できないということになりかねません。
② マニュアルやサポートはあるけれど…作るのは自分
RPAに限らず、新しいツールやサービスを使うときに困った経験はありませんか?
その際、マニュアルを読んだり、サポートセンターに問い合わせますよね。
RPAでも多くのベンダーさんがサポートはしてくれます。
ですが、基本的には”お客様がロボットを作ること”に対してのサポートです。
ロボットを作るまでの学習やロボット作成は自分でどうにかしなければなりません。
忙しく業務に追われているなかで、RPAに費やす時間が多くなり、今以上に残業とストレスが増えてしまいます。
失敗しないRPAの運用パターン
では、どのようにすればRPA導入が成功するのかをみていきます。
失敗してしまうかも?な運用例 RPA化を自社で行う
まずは、このような経験をした企業様も多いのではないでしょうか。
「カンタンにできそうだから自社でやってみよう!」と導入したものの、使いこなせなかった…というパターンです。
このパターンは「自社開発・自社運用」に重きを置いています。
ロボット(シナリオ)を自社で作ろうとすると、短期間にしっかり時間を確保して、学習と実践を繰り返す必要があります。
簡単なロボットなら数時間のトレーニングでも作れますが、しっかりと業務に使えるRPAを開発できるようになるには3ヶ月程度かかると言われています。
リソースや時間に余裕がある企業は問題ありませんが、多くの企業では難しい課題ではないでしょうか。
しっかりと開発能力を身につけた場合でも、RPA稼働後にエラー対処に追われてしまうケースが見受けられます。
失敗しない運用例① RPAを業務委託する場合
次に、RPAを業務委託する場合です。
ここが、本稿の大事なポイントです。RPAも「業務委託ができる」選択肢があることをお伝えしたいです。
ロボット開発を業務委託した場合は業務ヒアリングやテスト運用を経た後、スタートボタンを押すだけでロボットが稼働します。
発注側はRPAの知識を習得せずに、問い合わせから1~2ヶ月でロボットを稼働させることができることがメリットです。
稼働後のエラー対処にも対応しているため、サポートも十分受けられます。
失敗しない運用例② 初期段階は作成代行を依頼し、後に自社運用する場合
上記の通り、RPAを業務委託すればその業務に合ったロボット(シナリオ)をオーダーメイドでプロに作成・納品してもらえるので、業務効率化がスムーズに進みます。
ただ、現実問題として、コストがかさむという問題が発生したり、自社で進めたいというケースもありますよね。
このような場合には、まず作成代行を依頼し、のちに自社運用に切り替えることがおすすめです。
作成代行を依頼している期間でRPAを学習できますし、不明点は委託先に聞くことですぐに解決できる場合もあります。
まとめ
RPAは業務効率化に適したツールですが、導入・運用には課題も多く、特に複雑な業務フローを自動化する際には、開発やメンテナンスが難しくなることがあります。RPAを使いこなすためには、ツールの使い方を学び、ロボット(シナリオ)を作成する時間とスキルが必要です。
RPA導入を成功させたいのであればRPAを業務委託することがおすすめです。または初期段階は作成代行を依頼し、のちに自社運用に切り替え、最速で効果を出しましょう。
ロボット(シナリオ)の内容は業務によって異なりますから、はじめから自社ですべて行おうとせずに、運用パターンを適切に選ぶことが業務効率化を成功させる秘訣といえます。
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