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ブランディングにおけるCIデザイン・VI について

2021.04.16 金

2000年以降、ブランディングにおけるデザイン。

こんにちは!タケっちです。

前回の記事、CIブームのおはなし。Back to the 80-90s.ではCIブームと90年代CIについて回想しました。今回はそれ以降のブランディングにおけるデザインについて、個人的に感じてきたことを取り上げたいと思います。

CI計画はいわゆるブランディングに直結していきます。CIは企業ブランディングの軸になるものです。日本において大企業を中心にブランディングが活発化してから20年以上経ち、今や多くの企業はブランディングに取り組み、私たちの日常生活は様々なブランド施策に囲まれています。そのブランディングとは要するにブランドづくり。人々の心に創り上げられた無形資産といって構いません。

まずCIはコーポレートアイデンティティで企業ブランディングにおいて軸になるものです。VIはVIS・ビジュアルアイデンティティシステムの事で、ブランドや企業のアイデンティティを視覚的に表現し体系化したデザインシステムです。

 

詳細化が進む各レギュレーション、拡張するガイドライン。

詳細化が進む各レギュレーション、拡張するガイドライン。

VIガイドラインは2000年代以降、指定サイズなど設計書としての内容がより詳細になっていきます。
特に名刺は、97年の独禁法改正で持株会社が解禁されたり、組織構成の階層や個人のポジションに関する情報が増えたりと、様々な影響で幅10㎝足らずの厚紙に記載する情報はどんどん増えていきました。

そしてブランディングの取り組みが活発化するにしたがいガイドラインも進化していきます。よりエモーショナルな表現規定にまで拡張するようになります。それより以前の「デザインや各ツールの設計書」といった機能的な内容だけではブランドの世界観を創るに不十分でした。

そもそもこの辺、デザイン開発担当の当方としても毎度ジレンマがありました。例えばシンボリックなコーポレートカラーだけ各アイテムに展開しても、コーポレートフォントを決めても、キャラクターを選定しても世界観は創られません。個人的にそんなざっくりしたものではなく、もっと深く踏み込まなくてはあまり意味を成さないんじゃないか?と考えていました。でもそれって、どうやるの?という。

具体的には大きく3つ、カラーと書体とビジュアル、これらの表現方針や使用規定に深く踏み込む必要があります。

 

エモーショナルな内容に発展していくガイドライン。

エモーショナルな内容に発展していくガイドライン。

ともあれブランディングの取り組みが活発化して以降、もっとエモーショナルな表現、例えば「熱狂」「やさしさ」「知的さ」「ナチュラル」「先進的な」…等々、ビジュアル表現についてキチッと方針を定め、コントロールするガイドラインを作るようになります。

パンフレットや広告、その他様々なツール全体においてブランドのトーン&マナー(雰囲気)をどう表現し統合的に展開するのか、深掘りした内容に踏み込んでいきます。やり方としてロゴなど基本デザインを開発する準備段階から、イメージ画像とキーワードを活用し世界観を大まかにビジュアル化した、いわゆるムードボードを作ります。商品開発のマーケティング現場などでおなじみの手法です。表現方針を精緻化したムードボードをベースに、マスターデザインと表現規定を開発しガイドラインに編纂します。

 

ブランドコミュニケーションガイドラインは大きく分けて2部構成。

①ビジョンやブランドコンセプト、戦略に言及した内容

  • ブランドプロポジション
  • ビジョン・ミッション・バリューやブランドステートメント、ブランド体系
  • ブランドストーリー
  • ブランドが目指す将来イメージをエモーショナルに視覚化した世界観

 

②VIに関する内容

  • VIの設計面に関する内容(以前のVIガイドライン)
  • トーン&マナーに関する内容
  • 再生用資料

 

大きく分けて前半はコンセプトや戦略に関する内容、後半のVIに関する内容と2つ。前半はアイデンティティを明文化した内容をはじめ、CSRの取り組みなど盛り込むケースもあるでしょう。その辺、社内ポータルサイトなどで全社的に共有するならガイドラインには概要までで十分かもしれません。

VIにはトーン&マナーに関する規定を含みます。昔はオフセットで印刷し、ハードカバーで高級感があるバインダーにしていましたが、今はPDFファイルにし社内ポータルなどで共有します。PPTで作成する事もありました。再生用資料ではカラーチップを特色印刷で製造し、制作物の色をきちんと管理すべきとは思います。しかしコスト削減など諸々の影響か、そこまで色の管理をせず多少のブレは許容する現実はあります。

 

展開性に重きがおかれた時期。

ところで一時、デザインの“展開性”にアイデアの突破口を求めた時期があります。
ブランディングの取り組みが盛んになり始めた初期、個人的にシンボルデザインは出尽くした感がありました。そもそも象徴性の強いシンボルロゴそのものを古く感じ出し、新しいVIでもテキストロゴの方が目につくようになります。

一方シンボルマークでありながら、象徴性より“展開性”に突破口を求めたような事例が印象に残るようになります。

例えばテレビ朝日(外部リンク)やSMBC(外部リンク1)(外部リンク2)、ペプシ(外部リンク1)(外部リンク2)などのVI事例です。極シンプルなシンボルマークで展開バリエーションを様々作ってシステムを構成したり、アイテム展開で映えることを優先したデザインです。展開アイテム全体を俯瞰するとデザインの広がりと共にアイデンティティが見えてきます。

ただバリエーション展開が魅力的とはいえ、世間に「〇〇〇〇のロゴはどのようなデザインか知っていますか?」と問うた時に漠然とでも答えられるよう、各社ともメインのロゴは一つに落ち着くようです。

またWEB周りの進化がいっそう加速していた中、WEBデザインではフラットデザインがとても新鮮で映えました。それ以前からグラフィックでも似た兆候がありましたが、WEBの影響もあったでしょう。一気にフラットデザインが流行っていきます。

その後2010年に入ってからは、グラフィックデザインの基礎的なことを再評価し回帰する機運が高まっていったように思います。原点に戻るような。

おわりに。

今回、前回の記事、CIブームのおはなし。Back to the 80-90s.のCIブームを回想した流れを受けて、その後のブランディングとデザインの動きについてちょっとだけ触れました。私が感じた表面的なところまでですが。
ブランディングにおけるCIデザインやVIは、日本独自の展開が進んでいます。今後も媒体やツールの進化、また社会環境や価値観の変化に伴いどんどん変遷していくことでしょう。

以上、タケっちでした。これをもって一区切りと致します。

大変ありがとうございました!

 

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  • この記事を書いた人

イチロー

これまで広く業界を問わずCIとブランディングにおけるデザイン、またアイデンティティの創造・立案支援、クリエイティブ・デザインに関する講義等に従事してまいりました。 その間、私たちの社会環境や価値観はどんどん変貌し、今後もDX推進やVRなど新たなコミュニケーション手段により、戦略をはじめデザインする媒体も感性面も変わり続けます。その絶え間ない変遷の中、人の心にある普遍的価値にしっかり立脚し、目前に広がる社会の新たな展開と可能性を見据え、共助共栄の下、日々の業務に携わっていきたいと思います。

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