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2024年のRPA市場動向を徹底解説!ツールシェアから読み解くRPA導入成功のコツ

2025.04.09 水

2024年、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)市場はさらなる成長を続け、企業の業務効率化やコスト削減を実現する重要なツールとして、引き続き注目を集めています。

本記事では、最新のRPA市場の規模やシェア、成長トレンドを最新のレポートに基づき解説します。

さらに、主要なRPAベンダーの比較や、導入時に考慮すべきポイントも紹介し、企業が最適なRPAソリューションを選ぶためのアドバイスをお伝えします。

RPA市場の動向を把握し、導入の準備を進めるための参考にしてください。

 

2024年のRPA市場規模とシェア分析

国内市場規模と成長率

近年、RPAの国内市場は着実に拡大を続けています。

​株式会社MM総研が2024年3月に行った「RPA国内利活用動向調査2024」※1によると、中小企業(年商50億円未満)における導入率は、2024年3月時点で15%に達し、前年から増加

さらに、準備・検討中の企業も23%と、今後も成長が続くだろうという結果になりました。

​この成長は、使いやすいインターフェースや手頃な価格のツールが中小企業に受け入れられていることが一因と考えられます。​

 

一方、中堅・大手企業(年商50億円以上)では、RPAの導入率は44%と前回調査からほぼ横ばいの状況が続いています。 ​

しかし、これらの企業では既存のRPAツールの社内活用が進み、全社的な自動化への取り組みが強化されているという状況が見えてきました。​

 

主要RPAベンダーのシェア

同調査によると、中小企業におけるRPAツールのシェアは、コクー株式会社の「マクロマン」※2とマイクロソフトの「Microsoft Power Automate」※3がともに18%で首位を占めました。​

マクロマンはツール自体を無料で提供し、RPA人材の派遣やサポートを有償とする方法が中小企業に受け入れられています。​

一方、Microsoft Power Automateは、Microsoft 365の普及に伴い、その連携性と利便性から導入が進んでいます。​

これらのツールは、使いやすいユーザーインターフェースや手頃な価格設定、充実したサポート体制が評価され、中小企業のニーズに適合していると考えられます。 ​

 

中堅・大手企業においては、Microsoft Power Automateが24%のシェアを獲得し、初めて首位となりました。​

これは、既存のMicrosoft 365ライセンスを活用し、追加コストを抑えつつRPAを導入できる点が評価された結果と考えられます。

​これまで首位であったNTTアドバンステクノロジの「WinActor」※4は21%で2位UiPath社の「UiPath」※5は16%で3位となっています。​

大手企業では、複数のRPAツールを利用していた状況から、特定のツールへの集約が進んでおり、全社的な自動化を推進する動きが見られます。 ​

 

これらのデータから、企業規模やニーズに応じて、適切なRPAツールを選定することが重要であることが示唆されます。​

中小企業ではコストやサポート体制を重視し、大手企業では既存システムとの連携や全社的な展開を考慮した選択が求められていると言えます。

 

企業規模で異なるRPA利用の特徴と課題

企業規模で異なるRPA利用の特徴と課題

同調査では、使いやすいユーザーインターフェースや手頃な価格設定である「Microsoft Power Automate」や「マクロマン」がシェアを伸ばした、という結果になりましたが、中小企業と中堅・大手企業ではその理由に違いがみられます。

 

「使いやすさ」と「手ごろな価格設定」であるツールが「中堅・大手企業」でシェアを伸ばした理由に、社内での利用拡大が挙がっていることから、社内IT部門がRPAの運用部隊として機能しており、自走などでの社内拡大を推進できている、という理由が考えられます。

 

RPAは運用がスタートすると、ロボットの開発やメンテナンス、管理が煩雑になりがちです。しっかりとした運用を行うには、社内体制づくりが不可欠です。社内体制が整っていれば、利用拡大はスムーズに行えるでしょう。

 

一方、中小企業では「使いやすさ」と「手ごろな価格設定」で導入のハードルは低いものの、IT部門以外の部門では実際のロボット開発や運用が難しく、運用に行き詰まる、ということも起こっています。

導入後のサポートが充実した「マクロマン」がシェアを広げているのはそのような理由からであると考えられます。

 

RPAツールを選ぶ際は、使いやすさや費用感も重要ですが、社内体制や今後の運用予定なども含め、総合的に検討していく必要があります。

 

自社の業務に合ったRPAの選び方

 RPAを導入する際、まず自社の業務内容や目的に適した製品を選定することが重要です。以下のポイントを考慮して選びましょう。​

自社の業務に合ったRPAの選び方

自動化したい業務の特性

RPAツールにも得手不得手があります。どのようなタイミングで行っているか、どのようなデータを扱うのかで選ぶべきRPAツールが変わってきます。

 

操作性とユーザビリティ

RPAはノーコードといっても、専門知識なしでは難しいものも多くあります。特に、IT部門担当者​以外の現場の担当者が直接操作する場合、プログラミング知識が不要で直感的に操作できるツールが望ましいです。

 

自社システムとの互換性

既存のシステムやアプリケーションとの連携がスムーズに行えるかを確認し、導入後のトラブルを防ぎます。​

 

コストとライセンス形態

初期費用やランニングコスト、ライセンス形態(買い切り型、サブスクリプション型)を比較し、予算に合った製品を選定します。 ​

 

導入支援の有無

RPA導入後の成功には、ベンダーのサポート体制が大きく影響します。初期設定や業務プロセスの自動化に関するアドバイスを提供してくれるかを確認します。 ​

 

トレーニングと教育プログラムの有無

特に、自走を考えている場合は、人材を育てるための教育プログラムが欠かせません。操作方法やシナリオ作成に関する研修が提供されているか、またその内容が充実しているかをチェックします。​

 

サポート対応の迅速さ

トラブル発生時の対応速度や、サポート窓口の営業時間、問い合わせ方法(電話、メール、チャットなど)を確認し、迅速な対応が期待できるかを評価します。 ​

 

コミュニティなど情報共有の場の有無

手軽に情報が入手できてユーザー同士の情報交換も可能なフォーラムや、FAQ、ナレッジベースが整備されているかも重要なポイントです。​

 

これらの要素を総合的に検討し、自社のニーズに最適なRPA製品を選定することが、導入成功への鍵となります。

 

RPA導入における課題とその解決策

 

RPA導入における課題RPAの選定が終わり、いざ導入しても、運用過程で特有の課題が生じることがあります。​

これらの課題を事前に理解しておき、対策を講じることが、RPA活用の成功には不可欠です。

 

導入初期の課題

RPAを導入した初期の段階では、多くの企業が以下のような課題に直面します。​

 

自動化対象業務の選定の難しさ

RPAは定型的でルールベースの業務に適していますが、実際の業務プロセスを確認し、自動化に適した業務を特定することは容易ではありません。​

業務が標準化されておらず、属人的な運用に依存しているケースや、例外処理が多い業務は自動化に向かない場合があります。 ​

解決策:

業務プロセスの可視化と標準化:​まず業務棚卸を行い、現行の業務プロセスを詳細に分析し、標準化を進めます。これにより、自動化に適した業務を特定しやすくなります。

自動化基準の設定:​業務のルール化、例外処理の少なさ、業務量の多さ、人間の判断不要性、エラー率の低さなどを基準に、自動化対象を選定します。​

 

開発スキル不足とRPAエンジニアの不足

RPAツールの中には、プログラミング知識がなくてもシナリオを作成できるものもありますが、本格的な運用には一定の開発スキルが求められる場合があります。​また、運用後のメンテナンスや業務変更への対応にも専門的なスキルが必要です。 ​

解決策:

社内人材の育成:​RPAに関する研修やトレーニングを実施し、社内で専門人材を育成します。

外部ベンダーの活用:​必要に応じて、RPAベンダーからのコンサルティングやサポートを受けることで、開発や運用の質を向上させます。​

 

従業員の抵抗感

RPA導入により、従業員が自身の仕事が脅かされると感じ、抵抗感を示すことがあります。​このような心理的障壁は、スムーズな運用の妨げとなる可能性があります。​

解決策:

目的とメリットの共有:​RPA導入の目的や期待されるメリットを明確にし、従業員と共有します。​これにより、理解と協力を得やすくなります。

教育とトレーニング:​RPAの基本的な知識や操作方法に関する教育を行い、従業員が新しいツールに慣れる機会を提供します。​

 

運用フェーズの課題

RPAの運用段階では、以下のような課題が発生することがあります。​

 

ロボットのメンテナンスと業務プロセス変更への対応

業務プロセスの変更やシステムのアップデートに伴い、RPAロボットのシナリオも適宜更新が必要です。​これを怠ると、ロボットが正常に稼働しなくなるリスクがあります。​

解決策:

定期的なレビューと更新:​業務プロセスやシステムの変更を定期的に確認し、必要に応じてロボットのシナリオを更新します。​

変更管理プロセスの確立:​業務変更時には、RPA担当者が関与し、ロボットへの影響を評価する仕組みを構築します。​

 

ロボットの管理と「野良ロボット」化の防止

担当者の異動や退職により、稼働中のロボットの管理が不十分になると、「野良ロボット」化し、予期せぬトラブルを引き起こす可能性があります。 ​

解決策:

一元的な管理体制の構築:​RPAロボットの開発者、稼働状況、仕様などを一元的に管理し、ドキュメント化します。​

運用ルールの明確化:​ロボットの開発、運用、メンテナンスに関するルールを策定し、関係者全員が遵守するよう徹底します。​

 

トラブル発生時の対応

ロボットが予期せぬエラーを起こすと、業務が停止するリスクがあります。​迅速な対応が求められるため、事前の準備が重要です。​

解決策:

エラー対応マニュアルの作成:​想定されるエラーとその対処法をまとめたマニュアルを作成し、関係者に共有します。​

監視体制の整備:​ロボットの稼働状況をリアルタイムで監視し、異常を早期に検知できるシステムを導入します。​

 

これらの課題と解決策を踏まえ、RPAの導入と運用を進めることで、業務効率化と生産性向上を実現することが可能です。​継続的な改善と適切な管理体制の構築が、RPA成功の鍵となります。

 

まとめ

2024年、RPA市場はさらなる成長を遂げ、多くの企業が業務の効率化やコスト削減のために活用を進めています。特に中小企業では、使いやすく手頃な価格のツールが導入のハードルを下げ、活用が広がっています。一方、中堅・大手企業では、既存システムとの連携や全社的な自動化推進が課題となっています。

RPA導入の成功には、自社の業務に適したツールの選定が不可欠です。コストや操作性、導入後のサポート体制を考慮し、長期的に運用できる仕組みを整えましょう。また、導入後は運用管理やトレーニングを強化し、スムーズな定着を目指すことが重要です。

業務の自動化は、企業の生産性向上と競争力強化につながります。市場のトレンドを踏まえ、今こそRPAの導入を検討し、業務改善に取り組んでみてはいかがでしょうか?

 

※1 出典:「RPA国内利活用動向調査2024」(2024年3月時点) 株式会社MM総研
※2 コク―株式会社「マクロマン
※3 マイクロソフト株式会社「Power Automate
※4 NTTアドバンステクノロジ株式会社「Winactor
※5 UiPath株式会社「UiPath

 

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