生産性の向上やヒューマンエラーの低減を図るための技術として「RPA」が多くの企業に導入されいます。
RPAはソフトウェアロボットを使って、手作業で行っていたプロセスを自動化するツールのこと。ビジネスプロセス全体を最適化することに役立ちます。
RPA導入を検討している企業の中には「RPAの使い方」「RPAの具体的な利用方法」「RPAの誤った使い方」など、気になることも多いでしょう。
この記事では「RPAの使い方」「RPAを使いこなすコツ」「RPAが向いていない業務」「使い方の勉強方法」を、具体例と導入効果を交えてわかりやすく解説します。
ぜひ最後までお読みください。
目次
【具体例付き】RPAの使い方を4つピックアップ
RPAは、定型業務の自動化で活躍することが多く、作業の効率化や正確性の向上などのメリットを享受でき、幅広い分野で結果を生み出しています。
ここでは、RPAを使って効果を得られた具体例を4つ紹介します。
1.経理事務の交通費精算業務
経理事務でよくあるような交通費精算業務をRPAで自動化することは、作業効率や精度の向上に繋がります。
【自動化された作業の手順】
1. データの取得:RPAが、各従業員が入力した「交通費に関するデータ」を自動的に取得。それに加え、必要に応じてデータ加工まで行う
2. データの処理:取得したデータを複数のExcel情報をもとに照合し、更新および加工を実施
※データ不備などNGになったものも抽出
3. データの更新:手順1~2で取得・加工したデータを業務システムに更新し、業務終了
※NG分は経理スタッフ(人間)が調査し、処理
この例では、約360時間/月 かかっていた作業を約10時間/月 まで削減できました。
交通費精算業務は月末1週間に集中していたため、その間経理スタッフは残業で帰宅できませんでしたが、RPAを使うことでこの業務時間が解消されたため、スタッフの生活改善にも大きく貢献したのです。
2.Webサイトからの情報収集業務
こちらは、書留郵便の追跡情報を約1万件取得する業務の自動化例です。
情報の鮮度が求められる複雑で膨大な業務を人の手で行っていたことで、かなりの負担がかかっていたものを、RPAに任せることで負担の改善を図りました。
【自動化された作業の手順】
1. データの取得:RPAが郵便物の追跡情報を検索できるサイトへ接続し、伝票番号を入力して検索をかける
2. PDF化:取得した追跡データをPDF化し、社内で管理しているファイルへ保存
3. 繰り返し作業:手順1では一度に検索できる件数が10件であるため、全ての検索が完了するまで、RPAが繰り返し作業を行う
この例では、作業時間を短縮できたことやミスが減ったことだけが効果ではありません。
新人として加入した優秀なスタッフが、この業務の負担により離職してしまうことが大きな問題でした。
RPA導入により、新人スタッフの離職を防げるようになった効果が大きいのです。
3.Excelから情報抽出・転記・メール報告業務
Excelから情報抽出・転記してメール報告を行う、という業務へのRPA導入は、効果が出やすい使い方の1つです。
【自動化された作業の手順】
1. データの集約:部品の不具合などクレーム情報をExcelに自動集約
2. データの転記:自動集約したデータを、対象の業務システムへ転記
3. メール送信:業務システムへの更新が完了すると、設定した対象者にメールを自動で配信
この事例の企業は世界に拠点がある部品メーカーであり、RPA導入前は拠点の稼働に合わせてクレーム情報を配信するために、スタッフ1名が残業・休日出勤で対応する事態が発生していました。
RPAを使うことにより業務から解放され、残業時間の減少および適切な休日を取れるようになり、スタッフのワークライフバランス向上に貢献しています。
4.ECサイトの情報更新業務
RPAは、ECサイトにおける情報更新業務でも大きな効果を発揮します。
【自動化された作業の手順】
1. データの取得:最新の商品情報をExcelから取得
2. データの更新:複数のECサイトに最新情報の登録・更新を行う
3. データの更新完了連絡:全てのサイトに最新情報の更新が完了した後、完了連絡をメールで周知
複数のECサイトを運営していると、セール価格の反映や在庫数情報の更新を短期間で実施する必要があり、情報漏れのリスクがありました。
価格や在庫状況をリアルタイムで反映させなければならないのに、人の手で行っていたことでタイムラグが発生し、顧客の購入手続きとすれ違いが起きていたのです。
そこでRPAを使用したことにより、短時間で漏れがなく情報を更新できるようになりました。
また、スタッフはストレス性の高い業務から解放され、よりクリエイティブな業務に集中できています。
RPAを使いこなすためのコツを紹介
RPA導入の際、ただ使おうとする・使うだけでは期待した以上の効果を得ることは難しいでしょう。
効果を最大化するために、ここで紹介するコツを押さえておくことをおすすめします。
RPAの導入目的を定め、導入意義を全社に浸透させる
RPAを導入する際には、まずその目的を明らかにしておくことが大切です。
業務効率化、エラー削減、チェック時間の削減、コンプライアンス強化などRPA導入には様々な効果が期待できますので、どこを目的に定めるかを決めておかないと、「あれもこれも…」になってしまい、なかなか導入に話が進まない、といったケースもあります。
さらに、RPAの導入を会社(もしくは部署)の方針とする場合、その『意義』を浸透させることが必要です。RPAの導入によって業務がどのように変わるのか、また現在抱えている悩みや困りごとがどのように解決されるのかについてメンバーに理解を促すことで、導入のスピードが加速し、期待以上の効果が得られる可能性があります
ヒアリングを行い、RPA導入業務の選定をする
RPAは、手作業で行っていたPC上の作業を自動化します。あらゆる業務を自動化できるというわけではありませんので、実際に業務を行っている現場の作業者やスタッフの生の声を聞きながら、自動化すべき業務内容を選びましょう。
トップダウンで自動化を推進することももちろん大切ですが、実際のユーザーの声を活かしたボトムアップもあわせて考える必要があります。
業務を選ぶ際には、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
1. 同じ処理を定期的に繰り返す
定期的に繰り返される業務は、自動化によって大きな効果を得やすいです。
2. 処理ルールが明確に決まっている
明確なルールに基づいて行われる業務は、RPAによる自動化が容易です。
3. 人の判断や意思が入らない
人間の判断が必要ない業務は、RPAによって正確に処理されます。
これらの業務は、RPAによって自動化しやすく、効果を得やすいことが多いです。
さらに、業務リストを作成し、「手順書の有無」「作業時間」「作業頻度」などの情報を可視化することで、どの業務から導入すべきかを判断しやすくなります。
いくつかのRPA対象の業務を書き出すことができたら、次に優先順位をつけます。一度に進めるより、一つずつ確実に自動化していくことをお勧めします。
優先順位をつける際は、作業時間の多い業務の優先度を高くします。月に50時間の業務より、月100時間かかっている業務シナリオを優先して自動化することで、RPA導入の効果を実感しやすく、また、次の自動化にも取り組みやすい環境を整えることができます。
RPA開発・運用の際は外部サポートを活用する
RPAはプログラミング知識がなくても運用できますが、メンテナンスや保守を継続して行うためには、有識者からのサポートや定期的な講習を受けることで、さらに効果的に使いこなせるようになります。
外部サポートを活用するメリットとして、以下の5点が挙げられます。
1.対象業務一覧をまとめてもらえる
自動化に適した業務をリストアップしてもらうことで、効率的な導入が可能になります。
2.対象業務内容を精査してもらえる
専門家による業務内容の精査により、最適な自動化対象を選定できます。
3.導入事例を紹介してもらえる
他社の成功事例を参考にすることで、自社の導入計画をより具体的に立てることができます。
4.RPA担当スタッフの負荷軽減ができる
外部サポートを活用することで、社内のRPA担当者の負荷を軽減し、他の重要な業務に集中させることができます。
5.ツールの学習時間を短縮できる
専門家からの指導により、ツールの学習時間を大幅に短縮し、早期に運用を開始できます。
専門家からの指導により、ツールの学習時間を大幅に短縮し、早期に運用を開始できます。
自社で運用を回していくためには、時間や費用を投資する必要があります。そのため、外部のサポートを積極的に活用し、効果の最大化を目指すことをお勧めします。
RPAの使い方として向いていない業務は?
RPAは業務効率化やヒューマンエラーの低減に貢献する自動化ツールとして活躍しますが、どの業務にも適応するわけではありません。
ここではRPAの使い方として向いていない業務を紹介します。
イレギュラーな作業の多い業務
RPAは定型的な業務など決まったルールがある業務が得意分野であり、イレギュラーが多い業務には向いていません。具体的には以下のような業務です。
・ コミュニケーションが必要な業務
チャットによる顧客対応や、社内でのコミュニケーションの取りまとめなど
・ 意思決定が必要な業務
状況に応じて次に行うアクションが変わってくるような業務など
たまに・稀にしか発生しない業務
稀にしか発生しない業務も、RPAの自動化対象としてはあまり適していません。
なぜなら、RPAは定型的な業務に特化しており、業務の自動化には事前にルールや手順を設定する必要があるためです。
頻繁に発生しない業務はルールや手順を設定することが難しく、また、発生した場合には手順などが変更になっている場合もあるため、RPAを導入しても大きな効果は得られないでしょう。
RPAの使い方の勉強方法
RPAは幅広く普及し始めたことで、手軽に自分で勉強できます。
最後に、RPAの使い方を知りたい方に向けて、勉強方法を複数紹介します。
オンライン学習サービスを利用
様々な企業がRPAのオンライン学習サービスを提供しているため、それらを利用して気軽にRPAを学べます。
有料のものはもちろん、中には無料で利用できるサービスもあります。
この方法の主なメリットは、RPAの基本的な使い方から正しい順序で教えてもらえるため、初心者でも理解がしやすいことです。
また、音声や動画データを活用したオンライン学習サービスであれば、わからなかったところを繰り返し確認できるため、安心して使い方が学べます。
ベンダー(販売元、提供元)からサポートを受ける
より専門的な使い方まで学習したい方には、ベンダーからサポートを受けることをおすすめします。
RPAの導入や運用時には様々な課題が生じることがあるでしょう。
そうした課題を解決するためには、ベンダーの専門知識や経験を活用することが有効です。
以下は、ベンダーから受けられるサポートの一例です。
・ 導入前のコンサルティング:どのような業務を自動化するか、どのようなツールを使うかなど、最適な導入計画をサポート
・ 導入作業のサポート:ツールのインストールや設定、RPAの設計・構築といった実装支援をスムーズに行う
・ 運用中のサポート:運用中のエラー対応
・ ロボット開発のサポート:自社では開発が難しい、複雑なロボットの開発をサポート
ベンダーは最もRPAについて詳しく、実務に基づいた知識や経験が豊富です。
使い方を学ぶためには非常によい方法だといえるでしょう。
YouTubeで学ぶ
YouTubeも、RPAに関する情報や使い方を勉強するために有効なソースの1つです。
近年、動画サイトの利用率は著しく伸びており、YouTubeも例外ではありません。
その傾向を活かすため、YouTubeにはRPAを題材にした多くのチャンネル・動画が存在します。
YouTubeの動画で使い方を学ぶメリットは、何といっても手軽に・無料で行えることでしょう。
隙間時間で気軽に視聴できるため、勉強の初めの一歩として優秀です。
タクトシステムでも、RPAの使い方をご紹介している動画をYouTubeで公開しています。
動画にはデモ画面を使用しており、実践に近い形で使い方を学べるため、よりイメージがしやすいでしょう。
気になる方は以下のリンクから動画視聴をお申し込みください。
なお、タクトシステムでは、YouTube公式アカウントにて使い方以外の動画も公開中です。
気になる方はこちらもご覧ください!
無料ツールを実際に使ってみる
習うより慣れろ!とお考えの場合には、実際に無料のRPAツールを使ってみる、というのもRPAの使い方を学ぶには手っ取り早い方法の一つです。
多くのRPAベンダーでは、一定期間無料で利用できるトライアルがありますので、気になるツールがあれば申し込みしてみるといいでしょう。
「トライアルの申し込みをするほどでは…」という場合には、マイクロソフトが提供する「Power Automate Desktop」のインストールをお勧めします。
「Power Automate Desktop」のダウンロードはコチラ
※Windows 10、Windows 11をご利用の方は無料でご利用できます。
無料ツールになりますので、やり方を細かく学ぶよりも、実際にシナリオを作ってみて、操作方法を試してみることができます。まずは小さなタスクから自動化して、徐々に複雑なシナリオ作りに挑戦することで、実践を通じてRPAのスキルを磨いていくことができます。
使い方次第でRPAは強い味方になる!適した使い方でRPAの力を活かそう
RPAは使い方やコツを上手く掴めば、業務効率化に大きく貢献する強い味方になることをおわかりいただけましたでしょうか。
時には外部サポートを活用しながらRPAを上手く使い、自社の課題を解決しましょう。
タクトシステム株式会社では、「伴走型サポート」をコンセプトにしたRPA導入支援サービス「ハカドリRPA」を提供しており、皆様のRPA導入・運用をサポートします。
「RPAの使い方に不安がある…」「RPAを上手く使いこなせるかわからない…」と不安をお持ちの方は、ぜひタクトシステムまでご相談ください。
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