ヒューマンエラーとは、人的要因により起きるミスや失敗のことを指し、人が仕事をする上で誰にでも起こり得る問題です。
ヒューマンエラーが発生する起因はさまざまであり、簡単なところでは確認不足や思い込みによる行動が原因で、対策をしなければ重大なミスに繋がる恐れがあります。
企業側としては「確認不足によるミスの対策はどうしたらよいか?」「思い込みによる行動を防ぐ策はないか」といった疑問・悩みを抱えているのではないでしょうか。
この記事では「ヒューマンエラーの種類」「ヒューマンエラーが起こる原因」「ヒューマンエラーの対策」をわかりやすく解説します。
ぜひ最後までお読みください。
目次
ヒューマンエラーとは「人為的なミス」のこと
ヒューマンエラーの定義は「人が実施した行為が原因となり引き起こされるミスや失敗」のことです。
簡単にいうと「人為的なミス」と置き換えられます。
例えば「疲労で集中力が低下し、製品の検査項目を漏らしてしまった」というのはヒューマンエラーとされます。
ヒューマンエラーは、ちょっとした小さなものから、取り返しがつかないような深刻なものまで幅広いです。
企業でヒューマンエラーが起きやすい状態が続くと、いずれ大きなミスが発生し社会的な信頼を失い、最悪の場合は倒産するリスクがあります。
また、機械のトラブルはヒューマンエラーには分類されませんが、間違ったマニュアルに従って生じたトラブルの場合には、ヒューマンエラーとされます。マニュアル作成時の確認不足がヒューマンエラーとなるのです。
ヒューマンエラーの種類
ヒューマンエラーは大きく分けて2種類存在し、「うっかりタイプ」と「危険軽視タイプ」があります。
こちらではこの2種類の違いをご紹介します。
1.うっかりタイプ
当事者は意図していないのに、結果としてミスをしてしまうのが「うっかりタイプ」です。
うっかりタイプは以下のようなさまざまなエラーが原因でミスをする恐れがあります。
【記憶エラー】思い出せない
当事者が、聞いたことを思い出せないことに起因して生じるエラー。 |
【認知エラー】聞き逃し、思い込みによる勘違い
正しい情報の聞き逃しや思い込みで、無意識に決めつけてしまって起こるエラー。 |
【判断エラー】連携不足、次になにをするべきかの判断の誤り
情報が適切に連携されず、判断を誤ってしまうエラー。特に複数人が関わる業務に生じやすい。 |
【行動エラー】手順など実行上の誤り
正しく判断したが、実際は誤った行動をとってしまうようなエラー。 |
2.危険軽視タイプ
もう1つのタイプが「危険軽視タイプ」です。特に工場や建設現場のような場所で多く見受けられます。
慣れにより安易な気持ちで作業をすること、作業に潜む危険を過小評価してしまったことでヒューマンエラーを起こします。
ヒューマンエラーが起こる原因
ヒューマンエラーが起こる原因は主に以下5つがあります。
ここでは、飲食店で起こる事例を交えてご紹介します。
1.確認不足
正しい情報が上手く伝わっておらず、担当者の思い込みで行動しミスを起こしてしまうものです。
また、大切な話を聞き逃し、確認せずに行動してしまうなども挙げられます。
例:本日のおすすめランチはAセットであったが、担当者の思い込みでBセットを宣伝してしまい、Aセットの食材が過剰に余ったため、廃棄処分した。
2.意識の低下
単純作業や繰り返し作業による慣れが原因で、作業上の危険性に対する意識が低下しミスを起こしてしまうことがあります。
特に建設現場や製造ラインのような現場業務で多く見受けられるミスです。
例:「いつもやっているのでいけるだろう」と思い込み、両手が塞がるくらい大量の食器を持って片付けを行った。しかし、洗い場に持っていく最中に食器を落として破損させてしまった。
3.経験不足
業務に関する経験が不足していたことで判断を誤り、ミスを起こしてしまうことです。
例:ホールスタッフが足りない事態が発生したことで、キッチンスタッフもホール作業に加わった。しかし、注文の取り方や食器の片付け方法がわからなかったため、お客様の申し出と異なる注文を入れたり、食器を割ったりというミスを起こした。
4.連絡ミス
引き継ぎが正しくできておらず、誤った判断・行動をしてミスを起こしてしまうことです。
例:今日の夜に、明日発売の新メニューのチラシを設置する業務があったが、朝番のスタッフから夜番のスタッフへ正しく引き継ぎができておらず、翌日新メニューのチラシが設置できていなかった。
5.人手不足
人手が不足して業務が特定の人に集中すると、疲労が溜まっていき、正しい判断ができなくなります。
また、疲れから適当な判断をし、ミスを起こしてしまうことがあります。
例:本来であれば2名で行うべきキッチンの作業を1人で担ったため、調理すべき料理の優先順位判断を誤り、クレームが発生してしまった。
【5選】ヒューマンエラーの対策
どんなに訓練したとしても、人間が仕事や作業を行う限りミスは付き物です。
特に、過度にプレッシャーがかかる状況や、逆にプレッシャーがない状況ではヒューマンエラーを引き起こしやすいです。
人のミスを完全に排除することは難しいため、適切な対策を講じることが重要となってきます。
そこで、ヒューマンエラーが起こる原因を理解し適切な対策を施しましょう。
1.ささいなミスの時点で改善に動く
小さくてささいなミスが発生した時点で、改善を進める意識を持ちましょう。
小さなミスであっても、それを放置したままにしておくと、いつか大きなミスに繋がるリスクがあります。
ささいなミスだからといって無視するのではなく、小さなミスの時点で業務改善、プロセス改善しミス自体が起きない仕組みを作るように心がけましょう。
2.従業員のスキルを向上させる
ヒューマンエラーを防ぐためには、従業員のスキルを向上させることが必須でしょう。
スキルが不足しているということは、言い換えると「初めて行う・慣れない作業がある」ということです。
初めて行う作業はヒューマンエラーを引き起こしやすい原因の1つであるため、スキルを向上させてミスを起こしづらくしていきましょう。
また、現場作業者には危険予測能力のスキルを向上させることをおすすめします。
現場や作業に潜む危険性を発見し、アクシデントを未然に防ぐ能力を高められるためです。
3.エラーが起きにくい仕組みを作る
ヒューマンエラーは完全に排除できないため、発生したときに今後起きにくい仕組みを作ることが非常に重要です。
エラー発生時にはその解決が最優先事項となりますが、並行して「どのようなヒューマンエラーが発生したかの情報共有」を徹底するとよいでしょう。
関連業務に携わる従業員にも同様のヒューマンエラーが発生するリスクがあるため、情報共有をすることで危険性のリスクを意識づけできます。
ヒューマンエラーを情報共有できるようにするためには、ミスを「悪」と捉えずに、「排除して良くしていこう」と前向きで風通しの良い雰囲気を保つことが必要不可欠です。
4.休憩時間を大切にする
従業員には適切な休憩時間を設けて、心身のリラックスに努めましょう。
人は疲労の蓄積や長時間作業により著しく意識・集中力が低下し、それによりいい加減な判断や誤った行動を起こすリスクがあります。
また、疲労蓄積は業務効率の低下にも結び付くため、従業員の適切な休憩時間を確保し、万全な体調で作業ができるように職場環境を整えましょう。
5.作業をツールや機械に任せる
ヒューマンエラーは、人が業務をする限り必ず発生するミスとご紹介しました。
言い換えると、人の代わりにロボットや自動化ツールが作業をすれば、人為的ミスの発生を防げるかもしれないということです。
例えば、人が行う作業を自動化するツールに「RPA(Robotic Process Automation)」があり、これはPC上の定型業務を自動化することを得意としています。
機械は、人のように「長時間作業や慣れない作業をやっているから、疲労でパフォーマンスが低下する」という心配がありません。
定型業務をツールや機械に任せると、疲労や繰り返し作業の慣れから発生するミスを防止できるでしょう。
また、業務時間の短縮や作業の正確性が向上するため、ヒューマンエラーの対策としておすすめです。
ヒューマンエラーは「起こさない仕組み作り」で対策しよう
ヒューマンエラーは、人間が業務をする限り排除することは難しいですが、ツールや機械を導入することで防げます。
代表的な自動化ツールであるRPAは、業務効率化を図る手段として注目されていますが、ヒューマンエラー対策としても非常に優秀です。
今回の内容を参考にすると、「この業務ならRPAを導入してヒューマンエラーを防げそうだ」と思い当たる業務があるのではないでしょうか?
まずはRPAの導入サポートに強い企業へ、自社のどんな業務がRPA導入に適しているか、相談してみてはいかがでしょうか。
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