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クロスメディアエキスパートを受験しました

2016.06.10 金

クロスメディアエキスパートを受験しました

こんにちは、デジタル事業本部の藤田です。

先日、クロスメディアエキスパート認証試験を受験し無事合格しました! 私が受験した第21期試験は総受験者数109名/合格者数36名/合格率33.0%とのことでそこそこ狭き門だったようです。今回はこのクロスメディアエキスパート受験奮闘記を書こうと思います。

● きっかけはウェブ解析士

私の所属する部署はクロスメディアビジネス室という名称です。クロスメディアビジネス室ならクロスメディアエキスパートを取得してみてはどうか…と、会社から進められたことがそもそもの受験のきっかけでした。2015年年末のある日のことです。当時私は初級ウェブ解析士の試験直前だったので他の試験のことを考える余裕がなかったどころか、クロスメディアエキスパートという資格自体まったく知らなかったという有様でした。いきなりそういわれても簡単には取れませんがな…というのがその時の率直な本音です。

ちなみにJAGATが定義するクロスメディアエキスパートの人物像は

クロスメディアエキスパート認証制度は、課題解決のためにクロスメディア戦略を立案し、情報のメディア展開を推進する、「メディア戦略のコーディネーター」を認証する制度です。

とあります(参考:クロスメディアエキスパートとは | JAGAT)。これだけでもなんだか難しくて尻込みしそうです。ですが、とりあえず過去の問題をパラパラとめくってみたところ「バイラル」「KPI」「フレームワーク」など、ウェブ解析士で勉強していた言葉が散見されました。オンラインのマーケティングに興味を持ち始めたところだったので、次はもっと根本的なマーケティング基礎知識を身につけようではないかと思い受験を決意しました。

● 試験について

クロスメディアエキスパートの試験は第1部と第2部に分かれており、

  • 第1部試験 多肢選択形式(120分)
  • 第2部試験 記述形式(120分)

となっています。

第1部はマークシート方式の3〜4択選択問題です。カリキュラムは、「コミュニケーション概論」「経営概論」「情報技術概論」の3つに分かれており、課題解決策の立案や提案に必要な知識を審査されます。
第2部は記述式で架空クライアントのヒアリング報告書や資料から、問題解決に向けた施策を立案。クロスメディアを前提とした施策に対するメディア戦略の提案書(A4縦3枚:しかも手書き)を審査されます。
第1部・2部ともに70%以上の得点で合格となります。

● 対策

第1部はカリキュラムはあるものの教科書的なテキストというものは実質的にありません。とりあえずJAGATが出している過去の認証試験模擬問題をひたすら解いて、わからないキーワードや知らない事柄を地道に調べて少しずつ理解していきました。iPhoneの単語帳アプリにキーワードを入力して空き時間や移動時間に確認することも役に立ちました。
第2部は手こずりました。今までの人生で提案書なんて書いたことがなかったので、未経験なりに手探りで仕上げていった感じです。参考になったのは模範解答で、丸写しに始まり内容を何度も読んで理解しました。第1部のキーワードも覚えるだけでなく咀嚼するように意識することも大事だったと思います。また、社内に提案書の達人がいるので相談に乗ってもらえたことも大きなプラスになりました。
手書きに関してはひたすら書いていけばスピードも上がっていきさほど苦にならなくなりました。いつのまにか漢字も自然と書けるようになるものです。個人的にはシャーペンより鉛筆の方が圧倒的に筆が進みました。

● 参考書籍

提案書作成の参考になった本をあげておきます。

新版 問題解決プロフェッショナル「思考と技術」齋藤嘉則(著)ダイヤモンド社

MECEやゼロベース思考という言葉は知っていましたが、ちゃんと理解はしていませんでした。論理的思考を基礎と実践両方の側面から解説しています。

企業参謀 大前研一(著)講談社文庫

大前氏については3C分析がきっかけで興味を持ちました。この本では事業における問題を検証を踏まえてクリアにしていくプロセスを解説しています。プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントの考え方は目から鱗でした。

伝える力 池上彰(著)PHPビジネス新書

池上さんは文章もたいへんわかりやすいです。相手に伝えるための言葉の取捨選択について勉強になりました。さらに、そのものズバリ「ビジネス文書を書く」という章があります。続編の「伝える力2」も大変タメになりました。

クックパッドのデータ分析力 中村耕史(著)日本実業出版社

クックパッドの「たべみる」サービスのリューアル提案・実現から、マーケティング視点でのビッグデータ活用法を解説しています。

みんなを幸せにする資本主義 大久保秀夫(著)東洋経済新報社

公益資本主義の理念を解いた本です。この本のテーマである、企業はステークホルダーの利に資する公器であるという考え方はフレームワーク分析や戦略策定においてたいへん参考になりました。

● 対策その他

単語やキーワードなどの調べ物をするとき、インターネットはあまり参考にしませんでした。インターネットは情報を仕入れるには便利ですが知識は画一的になっているような気がしたからです。せいぜいコトバンクぐらいでしょうか。Wikipediaもあまり参考にしませんでした。図書館や大型書店で専門書を漁った方が有意義な知識が得られると思います。ただしWeb担当者Forumというポータルサイトは良質な記事も多く毎日チェックしていました。
そういえば、図書館で「企画書・提案書の書き方」「文章を上手く書くコツ」みたいな本も読みましたが、そもそもHow to本はハナからアテにならないと思いながら斜に構えて読んで、実際あまり参考にはならなかったのですが、たまにいいことが書いてあったりしたときはメモを取ったりしたので与件を読み解く練習代わりにはなるかもしれません(?)。
セミナーは一度だけ参加しました。WACAとJAGATが共同で開催した「ウェブ解析士 vs クロスメディアエキスパート」です。ちょうど初級ウェブ解析士に合格したあとだったのでなかなか興味深い内容のセミナーでした。第2部模範解答の解説、試験の意義や対策だけでなく出題傾向の裏話などが聞けたので参加してよかったです。

● 試験当日

試験は2016年3月20日(日)、青山学院大学2号館で行われました。大きい教室で、最初は左半分の席が埋まっており、第1部免除の受験者が第2部試験から入って来る形です。受験番号から察すると東京会場の受験者は70〜80人ぐらいでしょうか。比較的若い(30代前半ぐらい?)層が多かった印象です。前後の席で話がはずんでいたので企業の団体受験なのでしょう。
第1部の試験はほぼ過去模擬試験からの出題で全150問、過去問とほぼ同内容の問題が8割、新問題の割合は2割程度でした。今回の試験において出題された「TPP」や「改正個人情報保護法」などのキーワードに関する新問題は普段ニュースを意識して見ていないと難しいのではないでしょうか。中には弊社の事業としても推進していた「AR」についての問題もありました。
第2部の試験は「第3セクターによる鉄道事業を展開する小売およびサービス業(参考:第21期クロスメディアエキスパート認証試験と出題意図 | JAGAT)」についてのコミュニケーション施策を提案する内容の試験でした。出題与件の舞台が千葉県のローカル線とのことで某鉄道会社のぬれせんべいを思い出しましたが、せんべいとメディアを結びつけるのが難しかったこととそもそもこれではパクリになってしまうと思ったのでこのネタは止めました。結局、SWOT分析をもとに以下の3つの施策を思いつきました。①東京オリンピック需要を見越した外国人観光客向けの翻訳パンフレットの作成 ②枕木購入者乗車記念の風景写真定期サービス ③ゆるキャラのリアルとTwitter活用 このあたりを絡めて四苦八苦しながらもなんとか書き上げました。せんべいも何かの形で入れたかったですね…。

● 試験結果

試験から約2カ月後の5月末にまずJAGATのHPで合否の結果発表がありました。受験番号のみ表示してあるので自分の番号を見つけたときは半信半疑で何度も見返してしまいました。嬉しかったですねえ。その約2週間後に採点結果と合格認定証が郵送で届きました。

第1部は95%の得点率でしたが第2部は合格ラインぎりぎりの71点! 本当に崖っぷちでした。S評価が4つもあったのですがBが2つCが1つ(Aはゼロ)。分析やアイデアは長けているけれども提案そのものの論理が弱いという評価でしょうか。論理性が弱いのは自覚があるので、改めて指摘されると御意としか言いようがありません。今後はこのあたりの弱点を実務で鍛えていきたいと思います。

● 雑感

第1部試験は丸暗記してしまえば合格はできると思いますが、それでは意味がありません。言葉の意味をアウトプットできるように知識として理解しないと第2部の論述は難しいでしょう。知識を知恵として昇華する能力が求められているのではないでしょうか。また、手書きで提案書作成というのがすごいムチャぶり感アリですが、おそらく提案書そのものというより与件からひらめいたアイデアを限られた時間内で論理的にまとめあげられるかどうかをチェックされていると感じました。仮にPowerPointで奇麗にまとめた提案書作成となってしまうと装飾でごまかしが効いてしまうので論理性は見えにくくなってしまいそうです。クロスメディアエキスパートの論述試験問題は今後もこの手書き回答スタイルが続くのではないでしょうか。
私は技術者ですが、マーケティングを勉強したおかげで技術者こそ顧客ニーズを視野に入れることの重要性を学びました。技術とマーケティングは相反しそうなものですが、マッチすればターゲットをつかむための強力な経営リソースになるのではないでしょうか。知識・知恵の会得以上にセンスが磨かれた実感はあるので受験で得たものは大きかったと思います。
最後に、この試験を受験するにあたり提案書作成の相談に乗っていただいたTさんとYさんを始めとした同僚ならびに、応援してくれた友人達に感謝します。ありがとうございました。

  • この記事を書いた人

Noriaki Fujita

藤田 徳朗(フジタノリアキ) デジタル事業本部 DXソリューショングループ所属 Scriptを書いたり、アクセス解析をしています。どうぞよろしくお願いします。

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