RPAはノーコードなの？ローコードとの違いを含めて解説【初心者向け】導入から活用までの知識とスキル

RPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）を含めたノーコードツールは、業務効率化を実現するための強力な一手となります。

本記事では、RPAとノーコード・ローコードの基本、導入時の注意点、活用方法、そして導入手順について詳しく解説します。

RPAとノーコードの基本

RPAとは？ ノーコードとは？

RPAは、定型作業を自動化するツール。たとえば、データの転記や集計、メールの送受信などの作業を自動的に処理することで、業務効率化ができます。

多くの企業でRPAが導入され続けている背景には、時間削減と人的ミスの削減という面で、実績を残してきたことに加え、RPAはノーコードで、自動化がとてもラク、という点が挙げられます。

ノーコードとは、専門知識がなくても直感的な操作（ほとんどドラッグ＆ドロップ）でアプリやシステムを作成できる技術。

ヒトの目で見て確認して、手（マウスやキーボード）で動かして、そして間違っていないかをチェックする、という一連の流れを、RPAを使えば、マクロやPythonなどのコードを書かなくても実現できてしまう、というわけです。

そのため、RPAが海外から輸入された当初は大企業で導入されることがほとんどでしたが、今では中小企業を含めて様々な企業で導入が進められています。

RPAとノーコードとローコードの比較

ノーコードとよく似た言葉に、ローコードがあります。

ローコードとは、ノーコードの便利なところと、部分的にプログラミングもできる機能とを併せ持つツールのこと。ノーコードでは対応が難しくカスタマイズが求められる場面で活躍します。

以下は、RPA・ノーコード・ローコードの3つを比較した表です。

RPAツールの魅力と注意点

RPAの特徴

RPAは業務における定型作業を自動化するツールで、人間がパソコン上で行う操作を「ロボット」が代行し、手作業を大幅に削減できます。

RPAの主な特徴としては以下の3点が挙げられます。

• 業務の効率化

繰り返し作業を自動化することで時間を節約できます。

これまで単純な作業に当てていた業務時間をもっと考える（クリエイティブな）時間に置き換えることができます。

• 人的ミスの削減

ロボットが正確な処理を行うため、エラーが減少します。

作業の精度が上がることはもちろんのこと、エラーがおきていないかどうかをチェックする時間を減らすことにもつながります。

• 費用対効果

一度ロボットを作って、設定さえすれば継続的な運用が可能です。

手作業に使っていた時間を減らし、人的コストを削減することにつながります。

RPA導入時の注意点

ノーコードで利用できるRPAは、プログラミングスキルがなくても簡単に導入できる点が魅力です。ただし、注意点として以下が挙げられます

• 最低限の知識が必要

プログラミングコードを書く必要はありませんが、変数やワークフローの考え方を理解しておく必要があります。

どういう手順を自動化させるかによって、ロボットの作り方や変数の設定方法などに工夫が必要になります。

1. 変数とは

変数は、プログラムなどで使う「入れ物」のようなもの。数字や文字などのデータを入れておくことができます。

例えば、「x = 5」と書いたら、「x」という入れ物に「5」が入っているってことですよね。

毎回、5が入るかどうかはわからないというようなケースでは、変数「x」を入れておくことでプログラムを書き直す必要がなくなります。

2. ワークフローとは

ワークフローは、仕事や作業を進めるための「手順」や「流れ」のこと。

例えば、レストランでお客様に料理を提供するためのワークフローは、以下のようになります。

①注文を受付

②材料を用意して調理

③お皿に盛り付け

④お客様のテーブルに運ぶ

• 管理が重要

簡単なものであっても、他の人が作ったエクセルの関数やマクロをさわるのは怖いなぁ～、と思ったことはありませんか？

RPAでも同様に、他の人が作ったロボットを改修するのはかなり大変です。

業務フローの変更に応じて、柔軟にRPAを使いこなしていくには、作成したロボットの管理が求められます。

ノーコードだから、カンタンだから、という理由で、手作業をRPAロボットに置き換えすぎてしまうと、かえって業務が煩雑になったり、作った人が辞めてしまった後にロボット改修ができなくなってしまったりなどということもよくある話です。

「だれが」「いつ」「どのような」ロボットを作ったのか、など要点をまとめたロボット台帳の管理は必ず行うようにしましょう。

• 学習時間の確保

RPAを業務で利用するためには、ツールの操作を学ぶための時間が必要です。

直感的に使える部分ももちろん多くありますが、業務に沿ったフローを実現するには、時に複雑な処理にも対応することが求められます。

ツールにもよりますが、細かな設定を変えるためにはツールの特性を深く知っておく必要がありますので、ロボットを作成する時間とは別に学習時間が必要となります。

RPAとあわせて使いたいノーコード・ローコードツール

RPAはRPA単体で使うよりもノーコードツールやローコードツールとあわせて使った方がやりたいことをよりスムーズに実現することができます。

ここでは具体的なノーコードツール、ローコードツールについてご紹介します。

1.エクセル

RPAと最も相性が良いのがエクセルです。

エクセルからデータを読み取ってブラウザに入力したり、またブラウザから取得してきたデータをエクセルにまとめたり、などといったことがRPAでは簡単に実現できます。

RPAは人が手作業で行ってきた繰り返し業務自動化することができますが、エクセル関数ほどスピードが速いわけではありません。

そのため、表組の作り方やエクセル関数の知識が豊富であればあるほどよりRPAを使いこなしやすくなります。

2.Access

大量にデータを扱うなら、エクセルよりもAccessが便利です。

Accessを使うとデータの検索や追加変更削除を簡単に行うことができるデータベースアプリを作成することができます。

SQLの知識も最低限あれば一通りは使いこなすことができますし、エクセルと連携してデータをインポート/エクスポートすることもできます。

3.Kintone

Kintoneは、サイボウズが提供するノーコード・ローコードツール。

プログラミングの知識がなくても業務アプリを簡単に作成できます。

すでに業務管理にKintoneが使われている場合には、RPAでKintoneにデータを集約したい、もしくはKintoneから別のアプリにデータを移動したいというときにKintoneでデータ加工できる知識があるとRPAの活用の幅が広がります。

4. Zapier

Zapierはクラウドベースのアプリのデータ連携を自動化するiPaaSツール。

例えば、Gmailで受信したメールを自動的にGoogleスプレッドシートに記録し、Slackにも転送するなどの作業が可能になります。

RPAと混同されやすいツールになりますが、複雑な業務プロセスやデスクトップアプリの操作・データ連携には向いていませんので、RPAとの使い分けが必要になります。

RPA導入手順と覚えておきたい知識

RPA導入のステップ

RPAを導入し業務を効率化するためのステップは以下のようになります。

スモールスタートで始めて、徐々に自動化できる範囲を広げていく、というイメージを持つとつまずくことが少なくなります。

• 業務の棚卸し

繰り返し作業が多く、ルール化しやすい業務をピックアップします。業務量やコスト削減効果を事前に確認し、優先順位を決めます。

• ツール選定と導入

自動化したい業務を決めてからツールを選びます。

無料お試し期間があったりなどもしますので、使い勝手を確認すると同時にチームメンバーの意見ももらうようにしましょう。

• ロボット開発と運用・改善

ツールを決めたらロボットを開発します。

ロボットが複雑化しないために、事前に決めた業務でパイロット版を作成するところから始めるのがオススメです。

エラーが出る点を継続的に改善し、次のロボット開発へと続けます。

RPAを使いこなすための知識・スキル

RPAのロボット作成には基礎知識の習得が必要になります。

ツールの選定段階でも、ある程度の基礎を学ぶことができると思いますが、実際の業務の中で役立つロボットを作成するには、条件分岐やループ処理、エラー処理など複雑な機能を使っていくことになります。

そのためRPA導入前に以下の四つについて、きちんと知識・スキルとして押さえておくようにしましょう。

• 業務プロセスの理解と可視化

自動化する業務プロセスを理解したうえで、可視化できるスキルが必要です。

業務の流れやボトルネック、改善点を把握し、最適な自動化シナリオを設計するためには、業務の棚卸しとプロセスの見える化が必要です。

• データの取り扱い

RPAでは多くのデータを扱います。ノーコードとはいえ、データの形式や保存場所、セキュリティに関する知識は必ず持っていることを前提にロボットの作成を進めるようにしましょう。

• エラー処理とデバッグ

RPAの自動化プロセスではエラーが発生することが多々あります。

エラーの原因を特定し、どのように対処するのが良いかを考え、デバッグするためのスキルが必要となります。

• セキュリティとコンプライアンス

プロセスを自動化する際には、データが外部に流出してしまうことのないようにセキュリティ上の知識とコンプライアンス遵守が絶対条件です。

特に個人情報や機密情報を扱う場合は、セキュリティ対策を徹底しましょう。

まとめ

RPAを含めたノーコードツールは、業務効率化や生産性向上を目指す企業にとって欠かせないものとなっています。

ただ、導入には業務プロセスの理解やツールの学習に加え、ロボットの管理やエラー処理、セキュリティ対策も欠かせません。

スモールスタートで始め、徐々に自動化範囲を広げることで、RPAの効果を最大限に引き出しましょう。