RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、企業の業務効率化を推進するための革新的な手段として、近年ますます注目を集めています。
手作業で行っていた定型業務を自動化することで、人的ミスの削減や生産性の向上を実現できるため、多くの企業が導入を検討しています。
しかし、RPAの導入にあたっては、初期費用やランニングコストがどの程度かかるのか、またどのツールが自社に最適なのかといった疑問を抱える方も少なくありません。
本記事では、RPA導入にかかる費用の内訳について詳しく解説するとともに、ツール選定のポイントや各ツールの料金比較を行います。
RPA導入を検討する際の参考にしていただければ幸いです。
目次
RPA導入費用の内訳
RPAを導入する際には、さまざまな費用が発生します。
ここでは、それぞれの費用項目について詳しく解説します。
初期費用
まずRPAの導入の際に、初期費用が発生します。
この費用には、導入に必要な事務手続き、初期設定、ユーザーへの初期サポートなど、利用開始前の準備にかかるコストが含まれます。
初期費用はツールによって異なり、無料のものから数十万円に及ぶものまでさまざまです。
ライセンス費用
ほとんどのRPAツールでは、利用に際してライセンス費用が必要になります。
ライセンスは通常、使用するロボットの数や機能によって料金が変動し、月額制、年額制などツールによって異なります。
研修・トレーニング費用
RPAを自社で開発・運用していきたい、かつそのツールに精通しているスタッフがいない場合は、ユーザーに対する研修やトレーニングが必要になります。
各ツールで研修やトレーニングプログラムが用意されているので、これらを活用することで、ユーザーはツールの効果的な活用方法を習得できます。
研修費用には、プログラムの参加費や講師の派遣費用が含まれています。
保守・運用費(メンテナンス費用)
RPAシステムを導入した後、その運用を安定的に維持するためには、保守・運用費が欠かせません。
この費用には、定期的なシステムのアップデートやトラブルシューティングなどのサポートが含まれます。
適切な保守・運用体制を整えることで、RPAによる業務の効率化を持続的に実現することが可能になります。
ロボット開発委託費用
自社内でロボットを開発するためのリソースが不足している場合、専門の開発代行業者に開発を委託する選択肢があります。
この際に発生するのが、ロボット開発委託費用です。
費用は、開発するロボットの仕様や求められる機能の複雑さ、さらには開発期間によって大きく変動します。
自社開発が困難なロボットも、外部委託することでスムーズな開発が可能となります。
ハードウェア費用
RPAの導入にあたっては、その種類によってハードウェア費用が発生する場合があります。
RPAは主に以下の3種類に分類され、それぞれのタイプに応じて必要なハードウェアが異なります。
RPAのタイプ | 必要な設備 |
デスクトップ型 | PCが必要。個々のデスクトップ環境でRPAを稼働させるため、PCの性能や数に応じた費用がかかります。 |
クラウド型 | インターネットを介してサービスを利用するため、特別なハードウェアは不要。初期のハードウェア費用を抑えることができます。 |
サーバー型 | 専用のサーバーが必要。サーバーの設置や管理に伴う費用が発生しますが、大規模な自動化を実現するための強力な基盤を提供します。 |
RPAツール選定のポイント
RPAツールを選定する際には、いくつかのポイントを考慮する必要があります。
ポイントをしっかりと押さえることで、自社に最適なツールを選び、効果的な導入を実現することができます。
ツールの機能
まず、RPAツールの機能の確認は欠かせません。
必要な稼働環境、対応できる自動化の規模感、導入や運用にかかる費用などを確認します。
自社の用途に合っているか
RPAツールの機能を見極めるためには、まず自社の業務内容をしっかりと把握することが不可欠です。
RPAの導入を検討する前に、自社の業務を棚卸しし、業務プロセスを詳細に分析することが重要です。
自動化の対象となる業務については、作業量や時間、重要性などを基に優先順位を設定しておくと、ツール選定の際の明確な基準となります。
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費用対効果に見合っているか
次に、上記の導入にかかるコストと業務棚卸の内容を比較し、費用対効果が見合っているかを評価します。初期費用やランニングコストを考慮し、長期的な視点で投資価値を判断することが重要です。
自社の体制にあっているか
RPAを効果的に運用するためには、自社の組織体制に合ったツールを選ぶことが重要です。
RPAはロボットを作って終わりではなく、その後の継続的な運用が効果を出すカギとなります。
RPAを開発できるスタッフがいるか、管理・運用を任せられるスタッフがいるかなど、自社の体制を見直し、ツール側で提供しているサポートとあわせて検討していきます。
サポート体制があるか
ツール提供者のサポート体制を確認することは、RPA導入の成功において非常に重要です。トレーニングや教育サポートが充実しているか、導入後のトラブルシューティングやアップデートに迅速に対応できるか、さらにはロボット開発のサポートが提供されているかなどをしっかりと確認しましょう。充実したサポート体制は、長期的な運用の成功を支える重要な要素となります。
拡大できるか(スモールスタートできるか)
RPA導入は、まず小規模なプロジェクトから始め、徐々に拡大していくことが理想的です。自動化できる業務が増えればそれだけ効率化が進みます。リスクを抑えながらスモールスタートで始めつつ、将来に向けて拡張性があるかどうかも確認しておきます。
RPAツールの種類と料金比較
RPAツールは多種多様で、それぞれのツールが異なる機能や料金プランを提供しています。
ここからは主要なRPAツールの料金プランを紹介していきます。
※記載の情報は2024年10月時点の情報です。最新の情報は、各社のHPでご確認ください。
提供会社 | UiPath株式会社 |
特徴 | UiPathは、RPAツールの中でも特に利用者が多いツールのひとつです。 プログラミングの技術があるとより高度な自動化が可能ですが、基本的な操作はノーコードで行えるため、初心者でも始めやすいのが特徴。 個人ユースであれば無料で始められ、大規模運用まで拡張できる点がポイントです。 |
費用 | Free:無料、個人利用向け Pro:月額420ドル、小規模なチームや企業向け Enterprise:要問い合わせ、企業ユース向け |
提供会社 | オートメーション・エニウェア・ジャパン株式会社 |
特徴 | Automation Anywhereは、ワールドワイドに利用されているRPAのひとつです。 スモールスタートから大規模な自動化まで対応できる柔軟性があり、企業の成長に合わせたスケーラブルなソリューションを提供しています。 |
費用 | Community Edition:無料、Automation 360の体験版として提供、個人や小規模チーム向け 有償版:プラン、サポートとも要問い合わせ |
提供会社 | Blue Prism株式会社 |
特徴 | Blue Prismは、複数のロボットを効率的に管理できるRPAツールです。 高いセキュリティと安定した稼働を実現しており、企業における大規模な自動化に最適です。 |
費用 | 無償評価版:無料、最大30日間利用可能 有償版:要問い合わせ、本番環境の最大同時実行数により変動 |
提供会社 | NTTアドバンステクノロジ株式会社 |
特徴 | 大手NTTが開発したWinActorは、日本国内での利用に特化したツールで、ライセンス費用は比較的リーズナブルです。 中小企業にも導入しやすい価格設定が魅力です。 |
費用 | ノードロックライセンス: フル機能版:年間908,000円(税別) 実行版:年間248,000円(税別) フローティングライセンス: フル機能版:オープン価格 実行版:オープン価格 管理実行版:オープン価格 ※2025年1月に価格改定予定 |
提供会社 | 日本マイクロソフト株式会社 |
特徴 | Power Automate for desktopは、既存のMicrosoftユーザーにとっては非常に導入しやすいRPAソリューションです。 Windows11に標準装備されているほか、Windows10でも無料で利用可能です。 直感的な操作性とMicrosoft製品との高い互換性が特徴で、業務プロセスの自動化をスムーズに進めることができます。 |
費用 | 有償版: Power Automate プレミアム(ユーザーライセンス): 月額2,248円(税抜)/ユーザー Power Automate プロセス(容量ライセンス): 月額22,488円(税抜)/ボット Power Automate ホストプロセス(容量ライセンス): 月額32,233円/(税抜)/ボット |
提供会社 | RPAテクノロジーズ株式会社 |
特徴 | BizRobo!は、日本国内で広く利用されているRPAツールです。 ユーザーが直感的に操作できるインターフェースと、ノウハウが学べるポータルサイトやコミュニティーなど、運用時のサポートも充実しているのが特徴。 |
費用 | BizRobo! Basic: 年間7,920,000円(税別)、ロボット同時実行1~10台程度。 BizRobo! Lite: 初期費用 300,000円(税別) 基本料金 年間1,200,000円(税別)、ロボット同時実行1台。 BizRobo! Lite+: 初期費用 300,000円(税別) 基本料金 年間1,800,000円(税別)、ロボット同時実行2台。 BizRobo! mini: 年間900,000円(税別)、ロボット同時実行1台。 |
提供会社 | ソフトバンク株式会社 |
特徴 | SynchRoidは、BIzRobo!をベースにソフトバンク社が独自開発したRPAです。 BizRobo!の利便性だけでなく、ソフトバンク社の開発ノウハウも詰め込まれたツールで、ロボット開発のしやすさと充実したサポートが魅力です。 |
費用 | ベーシックパック:年間7,920,000円(税別)/ライセンス (660,000円/月✕12か月) ライトパック:年間900,000円(税別)/ライセンス |
提供会社 | ディヴォートソリューション株式会社 |
特徴 | アシロボは、そのシンプルな操作性と手頃な価格設定で多くの企業から支持を集めているRPAツールです。 ユーザーが直感的に操作できるため、導入後すぐに活用できるのが魅力です。 |
費用 | 1契約:月額50,000円(税別) 初期費用:200,000円(税別) 利用可能台数:1契約でパソコン2台が利用可能(開発+実行が可能) |
提供会社 | スターティアレイズ株式会社 |
特徴 | 使いやすさと優れたコストパフォーマンスで、多くの中小企業に利用されているRPAツールです。 ノーコードでの操作が可能なため、プログラミングの知識がなくても簡単にロボットの作成や運用ができます。 1ライセンスを共有できるフローティングライセンスであることもメリットのひとつです。 |
費用 | 基本プラン:初期費用100,000円(税別)、月額50,000円(税別)/1ライセンス リモレクライトプラン:初期費用150,000円(税別)、月額80,000円(税別)/1ライセンス |
提供会社 | 株式会社FCE |
特徴 | ロボパットDXは手軽に始められるRPAツールで、リーズナブルかつフレキシブルな価格設定が特徴です。 プログラミングの知識や専門知識がなくてもロボット開発が可能であることと、充実した無料のサポートもついて、初めての導入でも安心して利用できます。 |
費用 | フル機能ロボ:120,000円(税別)/月、作成と実行 実行専用ロボ:40,000円(税別)/月 レンタルRPA:19,800円(税別)/回・2泊3日 |
提供会社 | 株式会社batton |
特徴 | battonは、手軽に始められるRPAツールとして、多くの企業に選ばれています。 わかりやすいUIと社内での横展開のしやすさが魅力です。 導入から運用段階までのサポート込みの費用となっており、サポート面でもコスト面でも安心して利用することができます。 |
費用 | 月額134,546円(税別)〜、サポート込み |
提供会社 | コクー株式会社 |
特徴 | ツール費用が無料で提供されており、導入のハードルが非常に低いRPAソリューションです。 全機能が制限なく利用でき、利用期間や利用台数にも制限がないため、幅広いニーズに対応可能です。 |
費用 | ツール費用無料(機能制限なし、利用期間制限なし、利用台数制限なし) サポート:無料サポートと有償サポートあり(有償サポートの詳細は要問い合わせ) |
提供会社 | 株式会社テリロジーサービスウェア |
特徴 | 誰でも簡単にシナリオ作成ができる分かりやすさで、IT部門以外のユーザーにも人気のツール。 安定稼働やエラー通知機能もあり、運用面での使いやすさと、サンプルシナリオやトレーニング動画など、サポート面でも充実しています。 |
費用 | フル機能ロボット:年額750,000円(税抜) 実行専用ロボット:年額200,000円(税抜) EzAvater管理サーバー:年額498,000円~(税抜) |
RPAサービスは多数ありますが、今回は上記13社をご紹介しました。
ツールによっては料金について要問い合わせの場合もあります。
気になるRPAはお問い合わせをし、詳細を確認することをおすすめします。
ツールごとの特徴や価格を理解することで、導入後の運用がよりスムーズになり、ビジネスプロセスの自動化を効果的に進めることができるでしょう。
【RPAツールの費用 比較表】
提供会社 | 無償版 | 有償版 | |
UiPath株式会社 | Free:無料、個人利用向け | Pro:月額420ドル Enterprise:要問い合わせ |
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オートメーション・エニウェア・ジャパン株式会社 | Community Edition:無料、Automation 360の体験版として提供 | 有償版:プラン、サポートとも要問い合わせ | |
Blue Prism株式会社 | 無償評価版:無料、最大30日間利用可能 | 有償版:要問い合わせ、本番環境の最大同時実行数により変動 | |
NTTアドバンステクノロジ株式会社 | 30日間(製品版フルバージョン) | ノードロックライセンス: フル機能版:年間908,000円(税別) 実行版:年間248,000円(税別) フローティングライセンス: フル機能版:オープン価格 実行版:オープン価格 管理実行版:オープン価格 ※2025年1月に価格改定予定 |
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日本マイクロソフト株式会社 | Power Automate Free(ユーザーライセンス、無料) Power Automate 試用版(ユーザーライセンスのPower Automate Premiumと同等、90日間試用) |
Power Automate プレミアム(ユーザーライセンス): 月額2,248円(税抜)/ユーザー Power Automate プロセス(容量ライセンス): 月額22,488円(税抜)/ボット Power Automate ホストプロセス(容量ライセンス): 月額32,233円/(税抜)/ボット |
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RPAテクノロジーズ株式会社 | 1か月間 | BizRobo! Basic: 年間7,920,000円(税別)、ロボット同時実行1~10台程度。 BizRobo! Lite: 初期費用 300,000円(税別)、基本料金 年間1,200,000円(税別)、ロボット同時実行1台。 BizRobo! Lite+: 初期費用 300,000円(税別)、基本料金 年間1,800,000円(税別)、ロボット同時実行2台。 BizRobo! mini: 年間900,000円(税別)、ロボット同時実行1台。 |
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ソフトバンク株式会社 | 30日間 | ベーシックパック:年間7,920,000円(税別)/ライセンス(660,000円/月✕12か月) ライトパック:年間900,000円(税別)/ライセンス |
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ディヴォートソリューション株式会社 | 1か月間 | 1契約:月額50,000円(税別) 初期費用:200,000円(税別) 利用可能台数:1契約でパソコン2台が利用可能(開発+実行が可能) |
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RoboTANGO | スターティアレイズ株式会社 | 3週間 | 基本プラン:初期費用100,000円(税別)、月額50,000円(税別)/1ライセンス リモレクライトプラン:初期費用150,000円(税別)、月額80,000円(税別)/1ライセンス |
株式会社FCE | 1か月間(3アカウントまで) | フル機能ロボ:120,000円(税別)/月、作成と実行 実行専用ロボ:40,000円(税別)/月 レンタルRPA:19,800円(税別)/回・2泊3日 |
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株式会社batton | 要問い合わせ | 月額134,546円~(税別)、サポート込 | |
コクー株式会社 | ツール費用無料(機能制限なし、利用期間制限なし、利用台数制限なし) 無料サポートあり |
有償サポート マクロマン導入支援パック:月額40,000円 RPA女子:要問い合わせ 研修プラン:要問い合わせ |
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株式会社テリロジーサービスウェア | あり(詳細要問い合わせ) | フル機能ロボット:年額750,000円(税抜) 実行専用ロボット:年額200,000円(税抜) EzAvater管理サーバー:年額498,000円~(税抜) |
まとめ
RPAの導入にかかる費用の内訳と、選定のポイント、そして主要なRPAツールの費用の概要をお伝えしました。
RPAの導入では、自社でかかえている「自動化したい業務」と「構築できる運用体制」、そして「かけられる費用」などで適しているツールが変わるため、多角的な視点から検討する必要があります。
RPAを選定する際は、複数のRPAの大まかな特徴をまず把握し、自社の状況に適したツールを絞り込みつつ、価格などを問い合わせていくのが効率的です。
なお、大規模に導入してしまってから使いこなせないとあきらめてしまう方も多いことから、やはり最終的な規模感を見据えたうえでのスモールスタートが確実です。
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